3、4月コロナ人口10万人当たり死亡率と超過死亡の超過率は正の相関

図表5には、公表された3~4月の新型コロナ死亡数を人口10万人当たりの死亡率に変換した値と同期間の超過死亡の超過率との相関図を描いた。

新型コロナ死亡率が高いとされた国ほど超過死亡も大だった

両者の間には、見事に正の相関が認められる。

もちろん、超過死亡の内容は、自宅死など報告されないコロナによる死亡数に加えて、医療崩壊による超過死亡や都市封鎖(ロックダウン)による失業など経済的な要因やストレスによる自殺を含む。

都市封鎖の影響は、逆方向もあるという識者の説をフィナンシャルタイムズ紙は紹介している。すなわち、クルマ通勤による交通事故死や労災死の減少、あるいは大気汚染の緩和による死亡減などの影響もある。

公式的な新型コロナ死亡報告数は、病院外の死亡を把握しにくいなど、いろいろな制約下にあり、過少となりがちである。しかし、その程度は実際の死亡者数とほぼ比例しており、公式報告数での各国比較は意味ないとはいえないことが、こうした相関図からもうかがえるのである。

図表5からは、日本は、最も感染者数が多かった東京だけ抜き出しても、人口当たりの死亡数も超過死亡も非常に低いレベルだったことが、明らかである。

ただし、日本の場合は、超過死亡が公表死亡数の10倍以上と大きくかけ離れており、他国ではオランダの1.4倍が最大の乖離かいり幅だったのと比較すると異様である(注)。やはり、少なくとも4月末の時点までの状況として、PCR検査数のキャパシティに限界があったことなどが影響して、死亡者数の把握が過少だったのではないだろうか。

(注)なお、日本がWHOに報告している3~4月の新型コロナ死亡者数は410人だった。同期間の超過死亡は東京23区だけでも、全国の公表死亡数の2倍以上だったことになる。

超過死亡数が23区でもっとも多いのは練馬区、次いで大田区

東京都の死亡者数は、都内区市町村別に発表されているので、都内の各地域別に超過死亡を算出することができる。そこで、最後に、2020年の3~4月の都内各地域の超過死亡数と超過率を図表6に掲げておいた。

超過死亡数が23区でもっとも多いのは練馬区の115人であり、大田区の99人がこれに次いでいる。多摩地域では、多摩立川保健所管内が135人で最も多くなっている。

プレジデントオンラインに筆者が掲載した4月6日の記事「新型コロナ『感染率』ワースト1位は東京ではなく、福井だった」の図表3でも見たように、新型コロナの感染者数は23区に多く、多摩地域は少なくなっているが、超過死亡数については多摩地域でもかなり多くなっている点が異なっている。

都内地域別の超過死亡数と超過率(2020年3~4月)

一方、超過死亡の超過率は、島しょ部を除くと、港区が14.8%と最も高くなっており、次に、多摩地域の多摩立川保健所管内が14.1%で続いている。都心と周辺部、多摩島しょ部とで目立ったレベルの差は認められない。