超過死亡の多くは、新型コロナを直接の死因と考える理由

筆者は、超過死亡の多くは、新型コロナを直接の死因とするものだと考えている。それは海外の超過死亡の比率に比べて、東京都の比率はこれでも低いほうだからだ。

公表値が実は過少なのではないかという疑問から、海外の有力新聞は、各国の超過死亡をいち早く算出して報道していた。

図表3には、英国のフィナンシャルタイムズ紙が3~4月のヨーロッパ各国の超過死亡および超過率として報道した値を掲げ、今回判明した東京都の値を併記して両者を比較した。図表4のグラフでは、図表3の中の超過率を各国と比較している。

各国の超過死亡と新型コロナ公表死亡者数(2020年3月~4月)
東京だけでも超過死亡はヨーロッパ諸国と比較すると小さい

イタリア、スペインの超過死亡は2万人以上、英国、フランスの超過死亡は1万人以上と、4月末の時点でかなりの人数となっていた。超過率では、イタリアの90%やベルギーの60%、スペインの51%などほとんどの国で東京の7.7%を大きく上回っている。

「世界のコロナウイルス死は報告されているよりも60%多い」

図表には掲げていないが、フィナンシャルタイムズ紙はニューヨーク市のデータも算出しており、これによればニューヨーク市の超過死亡1万2700人、超過率299%となっていた。

以上のデータを報じた2020年4月27日のフィナンシャルタイムズ紙は「14カ国/地域の死亡統計は通常のレベルと比較して12万2000人死亡者数が多かったことを示しており、これは公式的に新型コロナの死亡数とされる7万7000人を大きく上回っていた」と述べ、記事のタイトルも「世界のコロナウイルス死は報告されているよりも60%多い」だった。

しかし、この14カ所には、上記ニューヨーク市などが含まれており、やや大げさな論評だったとも言える。

実際、図表3に示したWHOに各国が報告しているこの期間について死亡者数を見ると、スペインやオランダなどでは公表数より超過死亡のほうが多くなっている一方で、その他の国では超過死亡と公表値はほぼ同等である場合も多いのである。