「全ての企業を救う」のは不可能だ

「第2ステージ」の政策として今から準備すべきことは何か。ひとつは企業救済の仕組みだ。

「第1ステージ」では無担保無期限の融資など、とにかく資金繰りをつなぐ支援策が必要不可欠だった。だが、新型コロナが完全に消滅しない中で、企業の経営は根底から揺らぎつつある。霞が関の幹部官僚の間でも「名だたる企業でもこのままでは潰れる」という危機感が広がりつつある。「第2ステージ」では、企業を守るために資本を増強することが不可欠になる。つまり、国費や公的資金での「資本注入」が課題になっているのだ。

政府や与党は、すでに資本注入のスキームを検討し、政府系金融機関などを通じた企業支援策を第2次補正予算案に盛り込んでいる。とりあえずは大企業から零細企業まで、「全てを救う」というのが「建前」だ。

だが、これはあくまでも「建前」で、新型コロナの影響を受けた日本中の企業をすべて国が救うことなどできるはずはない。残念ながら、生き残る企業とそうでない企業が選別されることになるだろう。

「消える産業」への資本注入のツケを払うのは国民

だが、新型コロナと戦いながら経済活動を続けていかざるを得ない状態が長引いた場合、マーケットのあり方や事業のスタイルは全く変わる。元の事業のやり方に戻ることはないだろう。3月から5月までの自粛経験が、人々の生活スタイルや価値観を大きく変えたことも間違いない。そんな中で、「コロナ後」に必要な産業や企業と、消えていく企業が分かれていくことになる。

そうした中で、消えていく産業や企業に国や公的機関が資金を入れても、いずれ経営破綻し、そのツケは納税者である国民が払うことになる。ともすると、弱い企業や産業ほど、政府や政治家を頼りにする。国が資本注入する場合、そうした弱い企業を優先することになりかねない。

新型コロナ後に残すべき企業を助ける仕組みを、何としても早期に確立することが不可欠だ。