武田信玄は自分のなかに確固たる規律を持ち、それに沿って決断を下していた。単なる頑固者ではなく、ロジカルな思考を重ねられる大名だった。
信玄は領国統治のため「甲州法度之次第」という分国法を制定している。156カ条にわたるこの法律では、家臣や領民の権利から年貢の取り決めまで、当時としては珍しく細かなルールが明文化されている。たとえば、争いをおこした両者に対し、その正否を論ぜず同等の処罰を与える「喧嘩両成敗」が日本で一般的になったのは、「甲州法度之次第」で明示されてからだともいわれている。
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