「こうしてほしかった」「いまこう感じている」の2点を伝える

自分のなかにある「こうあるべき」という思いが破られたときに怒りが生まれます。

戸田久実『アンガーマネジメント』(日本経済新聞出版)
戸田久実『アンガーマネジメント』(日本経済新聞出版)

怒りを感じたときに、もし言葉にして伝えるならば「こうあるべきだ」よりも、「こうしてほしかった(ほしい)」という要望と「いまそれによってどんな気持ちになっているか」という、この2つを伝えることを、わたしは勧めています。

先ほどの上司との面談の例で言うならば、

「半年間、わたしなりに成果を上げてきました。ですから本当はその成果に見合った高い評価をしてほしかったのです。このような低い評価になさったその理由を教えていただけませんか。正直に言うと、非常に困惑しております」

といった言い方をすれば、相手を不快にすることなく、こちらの思いを伝えることができます。

ミスを繰り返す部下に対する上司側の発言の場合なら、

「こんな小さなミスでも、繰り返すことによって、次に引き継ぐ人の仕事を遅らせてしまうことになるんだよ」
「お客様に出す資料は、小さなミスでも不信感を与えてしまうこともあるんだよ。だから今後こうしたミスをしないように、再度見直してから資料を出してほしい。あまりこういうことを繰り返されてしまうと、わたしも次に大事な仕事を任せていいのか不安になるからね」

と伝えることができますね。

怒りの仕組みがわかっていると、いざ怒りを感じたときに、相手にどう伝えたらいいかもわかるようになります。反対に、誰かに怒りをぶつけられたときにも、相手の第一次感情がわかるようになります。そうすると、自分の怒りにも、相手の怒りにも振り回されなくなっていくのです。

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