第一次感情を表現できると相手は受け止めやすくなる
本来は、「悲しい」「悔しい」「寂しい」といった感情(第一次感情)を素直に表現できたほうがいいのですが、怒りのエネルギーのほうが強力なために、
「何をやっているんだ!」
「いいかげんにしろ!」
と、つい怒りの態度をとってしまう人が多いのです。
こうなると、相手は萎縮するか、反発してしまうかのどちらかになってしまい、本当に相手に知ってほしかった思いは、伝わりません。
一方、素直に第一次感情を表現できた場合はどうでしょうか。
「同じミスを繰り返されてしまうと、次に大事な仕事を任せて大丈夫か、とても不安になるんだよ」
「同じミスを繰り返されてしまうと、さすがにわたしも今後どう指導していいか、いまとても困っているんだよ」
このように言われると、部下も「そんなふうに思わせてしまったのか……」と反省したり、言われたことを受けとめやすくなると思いませんか。
面談時に激昂してしまった事例
ある30代前半の男性の話です。自分の半年間の評価を、部長や50代の上司との面談でやりとりするときに、激昂してしまった人がいました。
半年間、一心不乱に頑張ってきたので高い評価をつけてもらえると思っていたのに、部長が示した評価がかなり低かった。それで、思わず頭にきて、頭が真っ白になった瞬間に「なんでわたしがこの程度の評価なんですか!」と上司に食ってかかってしまったというのです。
そのとき、少々短気なその上司が「わたしの評価に文句があるのか!」と怒ったことに対して、「わたしだって半年間尽力してきましたよね!」とさらに言い返してしまい、最終的に面談が非常に険悪なものになってしまいました。
相談をしてきた彼に、その対話時にどんな第一次感情があったのか尋ねたところ、こんなことを言いました。
「いままでちゃんと評価してくれると信じていた上司がこんな評価をつけるのだと、とても悲しい気持ちになって、これからどうしたらいいのだろう」
「これほど低い評価をつける上司の下で、これからどうやって仕事をしていけばいいんだろうと困惑もした」
彼は、アンガーマネジメントの考えを知ったあとに、
「『いままで頑張ってきたので、この評価を見て非常に困惑しています』『一生懸命頑張ってきたことが、このような低い評価で、じつはとても悲しい気持ちです』ということを言えばよかったんですね」
と振り返っていました。