地方自治体が中央政府に依存することを前提とした仕組み

たとえば、全国1741市区町村のうち、地方税総額(市町村税)を上回る人件費を支払っている地方自治体は約29%、市町村民税総額(個人・法人合計)を上回る人件費を支払っている地方自治体は約74%となっている。最大で地方税の約8倍、市町村民税の約20倍の人件費が支払われている地方自治体も存在し、住民が毎年納めている地方税を職員給与のために支払っていることも、ザラだ。

これらの地方自治体は中央政府からの財政移転である地方交付税や国庫支出金によって、自治体運営の資金の多くを賄っている。日本の地方財政は地方自治体が中央政府に依存することを前提とした仕組みとなっている。

地方交付税や補助金に依存し、地元役場の給与すら自分らの地方税収でまともに支払えないケースが多く存在する状態では、中央から全国一律の税率や規制を事実上押し付けられるのも納得できる。

もちろん地方自治体が財政的に破綻することなく運営されているので、現状の日本のような地方財政の仕組みを採用することも1つの考え方と言えるだろう。しかし、地方自治体の中央政府への財政依存は、地方自治の精神を確実に蝕むとともに、地方自治のあり方そのものを事実上根幹から骨抜きにしているのだ。

地方自治は「民主主義の学校」と呼ばれているが、現在の日本は学校の理念やその運営が滅茶苦茶な状態になったまま放置されている。国が大きく揺れ動いている今こそ、地方自治運営に関する真剣な議論が行われることに期待したい。

【関連記事】
コロナ危機で総理への道が見えた小池百合子、「無能確定」の安倍晋三
非常事態にだけは強い!もしも、今、小池総理だったら
世界中で日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」という不気味
アフターコロナで「日本が一人勝ち」するかもしれないのはなぜか
安倍晋三に絶望…自然発生的「吉村総理」待望論、強まる