不安が大きい今こそ「子育ての原点」に戻る

自己に対する「自信」が小さいと「失敗するのではないか」という「不安」が目の前に大きく立ちはだかり、恐怖で一歩が踏み出せなくなり、新しい挑戦がしにくい、人生に対して消極的な態度が形成されてしまいます。

今子育てをしている親の多くは、バブル経済崩壊後に社会人になった人たちであり、高度経済成長期の社会が持つ楽観性や明るさを経験していません。日本社会が自信を失い、未来への夢や希望が描きづらい環境で育ってきた世代ですから、子どもの将来にも漠然とした「不安」を持っています。

それに加えて新型コロナウイルス騒動です。先の見えない時代への「不安」が増幅され、何を信じて子育てをすればいいのか、子どもにどう接すればいいのか、どんな教育を与えればいいのか、すっかりわからなくなっているのです。

子育ての不安が大きいときは「子育ての原点」に戻ってください。時代、国家、民族、文化を越えて、世界中の子育てで大切にされてきたことは、子どもに愛情を伝え「自信」を大きく育てることです。

環境の変化をいかに乗り切るかが自信を左右する

人は誰もが「愛され受け入れられたい欲求」を持って生まれてきます。この欲求が十分に満たされると、あるがままの自己への自信を持つことができます。「自分は親から受け入れられている」「自分は親から愛されている」という自信が心の支えとなり、失敗、困難、ストレスに立ち向かっていける前向きな態度が育つのです。

もちろんどの子も、赤ちゃんの頃は、親から大切に育てられますから、愛され受け入れられている自信を得ることができます。ところが子どもが成長し「環境の変化」や「習慣の変更」を迫られるようになると、この自信がグラついてくるのです。

例えばトイレトレーニングは、どの子も乗り越えなければならない壁です。慣れ親しんだオムツから離れ、自分の力で排泄をコントロールするというのは子どもとって「習慣の変更」であり、大きな「不安」を伴います。

この変化をうまく乗り越えることができれば「自分はできる」という自信が大きくなります。反対に失敗して恥ずかしいという経験が多くなると「また失敗するのではないか」という不安が大きくなり、自信は減退していきます。

子どもは環境の変化や習慣の変更に直面したとき、必ず「怖いよ」「助けて」というサインを発信します。このサインに親が適切に応えて、サポートを与え、安心させてあげることが子どもの自信を大きく育てるポイントです。