トラックドライバーなど物流業界の人手不足がますます深刻になっている。元トラックドライバーの橋本愛喜さんは「国は女性ドライバーを増やそうとしているが、女性比率は2.4%程度にとどまっている。必要なのは『トイレを増やす』といった女性が働きやすい環境の整備だ」という——。
元トラックドライバーの橋本愛喜さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
元トラックドライバーの橋本愛喜さん

圧倒的な「男性職場」、人手不足に悩む物流業界

——トラック業界は、深刻な人手不足の状態が続いています。橋本さんが3月に出した初著『トラックドライバーにも言わせて』でも指摘されていますね。

人手不足は、物流業界が抱えている最も深刻な問題です。

厚労省の統計によると、トラックドライバーの有効求人倍率は3.26倍(2018年12月時点)で、全職種の2倍以上も高い。特に昨今、新型コロナウイルスの影響でECの需要がますます高まり、今後の物流を維持するにはドライバー不足の解消が急務だと言えます。

運送企業の経営者は、女性や経験のある高齢者を即戦力として採用するようになってきています。しかし、今も男性が圧倒的に多い業界であることには変わりません。

——女性のトラックドライバーの現状を教えてください。

大型免許を保有する女性は全国に13万4000人以上いるといわれていますが、トラックドライバーに占める女性比率は2.4%(約2万人)にとどまっています。

国は2014年に女性トラックドライバーを「トラガール」と名付け、業界のイメージを変えつつ女性の比率を上げようと取り組んでいます。しかし、思ったほど成果は出ていません。

国の「トラガール促進プロジェクト」は、女性受けを狙って、ポスターやアイテムはピンク一色です。正直、失笑しました。人手不足解消のために女性の雇用を増加させようとする考えは間違いではないですが、かけ声だけでは問題の解決はできません。