新築というよりもはや中古マンションに

デベロッパーサイドでは、改装工事を分譲した住戸部分に限定したうえで工期を前倒しにするなどの対応を検討中と聞くが、何しろ大規模団地での工事である。現在までのところどのように対応するかは検討中だという。今後は計画の頓挫から契約の解除を申し出る顧客も出ることが予想される。

仮に来年になってもコロナ禍が収まらず、五輪が再延期などになると事態はさらに深刻になる。今から4年、5年も先の引き渡し、入居開始ともなるともはや「新築」というよりも築5年の中古マンションのリノベーション物件の雰囲気すら出てくることになる。ましてや小池百合子都知事が言及したように今後パンデミックが発生した場合に、すでにできあがっている選手村宿舎を軽症者用の退避施設に指定したあかつきには、マーケットではほとんど「事故物件」として扱われてしまう可能性すら出てくるだろう。

いずれにしてもこの巨大戦艦ともいえる「HARUMI FLAG」の先行きは全くの視界不良の状態に陥ったといえそうだ。

タワーマンション

販売を続けること自体がリスクになる

さて、こうした状況下で今後湾岸エリアのタワーマンションマーケットはどうなっていくのだろうか。状況はあまり芳しいものとはいえなさそうだ。

まずは短期的には「HARUMI FLAG」の販売苦戦が新築のみならず中古の販売にも大きな影響を与えそうだ。「HARUMI FLAG」の販売価格は近隣相場の2割から3割安い水準で販売され話題となったが、第1期販売の平均競争率は2.6倍。即日完売との発表となっているが、約600戸もの大量販売で平均競争率2.6倍という数値は、実際にマンション販売をやっているプロの目からみれば、全戸の引き渡しが無事終えられるかどうかはなはだ怪しい倍率だ。実際に20~30戸売れ残ったとの噂も出ている。

今年3月からスタートするはずだった第2期販売は6月以降に延期されることが発表されているが、販売担当者は大いに悩んでいることだろう。

なぜなら五輪延期のスケジュールこそ発表されたものの、本当にスケジュール通りに開催されるか全く見通しがつかない中、さらに販売を続けていくことのリスクを考えざるをえないからだ。また、開催されたとしてもせっかく日本人みんなが期待に胸膨らませてきた大イベントにコロナという「ケチ」がついてしまったために、果たしてこれからも五輪レガシーという冠がその輝きを保ち続けることができるのか、不透明感が増しているともいえるからだ。

最悪、販売が苦戦して第一期よりもさらに価格を下げざるをえない状態になれば、湾岸エリアのマンションマーケットに大きな影響を及ぼすことになるだろう。