タワマンはいうまでもなく「三密」状態

次に懸念される要素が五輪を延期に追いやった新型コロナウイルスが人類に突き付けた挑戦状である。パンデミックを防ぐために国はいわゆる「三密」の状態にならないように呼び掛けている。三密とは「密集」「密閉」「密接」を意味する。この三密は実は湾岸に限った話ではないがタワマンにはすべて備わっているのである。

タワマンは一つの建物に数百戸から1000戸を上回る住戸が「密集」した建物である。住民たちが同じ建物の中で生活することを余儀なくされるのがタワマンだ。そしてその密集度たるや、どんな住宅よりも高いものであることは容易に理解できよう。

さらにタワマンは建物内の「密閉」性が極めて高い建物である。ほとんどのタワマンの各フロアにあるエレベーターホールや共用廊下には窓がなく、密閉された空間である。住戸も共用部側に窓がないために風通しの悪いものが多い。ウイルスが好む空間がタワマンには用意されているのである。

タワマンは同じ建物内に数多くの住民が住んでいる。特に朝の通勤時間帯になるとタワマン内のエレベーターはどれも出勤する住民や学校に通う生徒たちで満杯になる。途中階だとエレベーターに乗れない住民まで出るタワマンは多い。そしてタワマンは高層であるため1階に降りるまでの時間が長い。毎朝毎夕、住民たちはこのエレベーター内で住民同士が「密接」な空間を共にすることになるのである。

都内での新型コロナウイルス感染者数は増え続けている。この中にタワマン居住者が含まれていれば、数百戸から1千戸が住戸を共にするタワマン全体を消毒することになるはずだ。こうした状況が露わになると、今後タワマン人気が急速に萎んでいくことが懸念される。

湾岸タワマンは価格暴落の危機に

次に心配されるのが、湾岸エリアのタワマン所有者に多いとされるパワーカップルの行く末である。パワーカップルは夫婦共働きで夫、妻ともに年収が700万円を超えているカップルを指す。

リーマンショックが金融発の不況であり、全世界の産業に影響を与えるものではなく、不況ではあっても経済活動そのものが機能しなくなったりなくなったりするものではなかったのに対して、今回のコロナ禍は世界中の全産業に甚大な影響を及ぼし始めている。

パワーカップルが勤めている大企業でもおそらく多くは今回のコロナ禍の影響から免れるところは少ないであろう。今後ボーナスの減額はもちろん基本給与の引き下げなどが発生しないとも限らない。ひどい場合にはリストラされて職を失う危険だって生じるかもしれない。夫婦でそれぞれ目いっぱいの住宅ローンを組んで湾岸タワマンを買った夫婦の中には今後ローンの支払いに窮するところも出てくるだろう。返済に苦しみ、とにかく売却を急ぐために売りに出すことも考えられる。