現金給付は「金融と社会のシステム」を守る手段
新型コロナはいつの日か必ず終息する。そして経済は必ず回復に向かうが、問題はその時に企業が倒産していたり、金融システムが壊れてしまっていたりしないことが重要なのだ。
リーマン・ショックの時は金融システムが壊れることで、実体経済が大きく動揺した。今回は実体経済が大きく縮小する中で、金融システムが動揺している。ここで、どんな手を使っても金融システムや社会システムを守り抜く必要がある。システムを壊してしまったら、経済を回復させるのに膨大なコストがかかることになる。
今やらなければならない現金給付は、そうしたシステムを守るためのもので、何よりもスピードが肝心だ。多くの国会議員は、不公平だという国民の怒りを買うと次の選挙に勝てない、という危惧を抱く。だが、今は、所得再分配のために現金給付をするのではなく、現金給付によって経済の崩壊を防ぎ、一定の消費を維持することなのだ。国民の多くは皮膚感覚でそれが分かっているので、全国民一律の現金給付を求める声が大きくなっている。
現時点で一律給付として決まっているのは、4月1日に安倍首相が表明した「布マスクを全世帯に2枚ずつ配る」というものだけだ。政治家たちが「どうすれば公平になるか」という議論をしている間に、事態はどんどん悪くなる。一見正しい行動が、手遅れを招かないことを祈るばかりだ。