なぜサプライズなトップ交代が多いのか

経済危機の第二の効用である経営陣の刷新効果は、なかなか表立っては語られることが少ない。しかし、今年に入って、サプライズと受け取れるトップ交代が多くなっている。その最大の例が、日立製作所であろう。2月にいったん会長・社長の留任予定を発表しながら、3月中旬には会長・社長退任、そしてグループ会社に出ていた元副社長の社長への返り咲き、さらに2人の、すでにグループ会社へ出ていた元役員を本社取締役に戻す、といった一連の人事を発表した。年齢的にも退任する社長よりも新社長が上、というのも常識的なトップ交代ではない。日本の製造業で過去最大級の最終損益赤字(7880億円)という危機的状況がなければ、ここまで異例のトップ交代はなかっただろうと想像される。

日立はポテンシャルがあるのに、長く低迷しすぎていると思われていた企業であった。経営改革のテンポも遅かった。そのために今回の経済危機がもたらした外圧は、日立にとくにきつく働いてしまったのであろう。