まずは相手の言い分を必ず聞く

こういうときは自分の不快感を伝えるとよいでしょう。最初にやってほしいのは、「盗人にも三分の理を認める」ことです。悪いと感じることでも、その行為をする人には必ず理由があります。納得できるかどうかは別として、必ず理由があるので、まずそれを聞きます。「どうしてそうしたのか、考えを聞かせてもらっていい?」お金の使い方について夫婦の考え方を確認するのが目的で、不満を相手にぶつける必要はありません。だから冷静に聞きます。

こうすることで、あなたのイライラが相手に伝染したり、イライラが怒りへと発展するのを避けられます。もし聞いた理由が理解できないなら、どうしてほしいかを伝え、決め事をつくります。たとえば、「5万円以上の買い物をするときは、一言言う」などです。

ただし、決め事をつくるのは相手も納得してくれたときだけです。文句を言いながらでも、合意したうえで決め事をつくります。そうしないと、次のイライラや怒りを生む種をつくってしまいます。

私は結婚した当初は、給料をすべて妻に渡していました。しばらくして妻に「貯金はいくらあるの?」と聞いたら「あまりない」と言われました。決して無駄遣いしているわけではないのですが、積極的にお金を貯めていないこともわかりました。そこで何度か話し合い、私が貯める係、妻が大事に使う係になることを提案しました。

お互い経済的に自立していれば擦り合わせ不要のケースも

さらには家計のお金の入れ方についても話をしました。私は月によって収入が違います。収入に応じて家に入れるお金が増えたり減ったりするのと、毎月一定の金額を家に入れるのとどちらがいいかを聞きました。妻が後者を選びました。

ただし、お金の話は、二人の働き方によって変化します。かつての男は外で働き、女は家庭を守るという時代は終わり、現在は共働きのカップルのほうが多くなっています。共働き家庭で、お互いに同じくらいの収入があると、お金が共有の幸せにならないケースがあります。「共通の財布」であれば価値観を合わせたほうがよいですが、お互いに自立している場合は、擦り合わせなくてもよいケースもあります。

私は6年間シンガポールに住んでいました。シンガポールでは男性も女性も自立していて、男性が女性におごるという感覚があまりありません。女性と食事をして「ごちそうしますよ」と言うと、当たり前のように「割り勘にしましょう」と言われます。

さらにお互いいくら稼いでいるか知らない夫婦も結構いました。日本でも女性が外で働くことが一般的になってきた現在では、お金に対する考え方が変わってきたように思います。数十年前の「男は外で稼ぐもの」「オレが稼いでいるのだから」という価値観は古いものになっています。