鳥貴族が「おかわり自由のキャベツ盛」を提供している理由

集客商品と利益獲得商品を具体的に見てみましょう。今回は鳥貴族の集客商品と利益獲得商品を考えてみます。

Twitter公式アカウントより
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鳥貴族の集客商品は統一価格の焼鳥です。298円という統一価格というわかりやすさはお客さまをひきつけます。

しかし、焼き鳥ばかり売っているとあまり儲かりません。利益獲得商品が必要です。それが呼び水商品のキャベツ盛とアルコールドリンクなのです。お酒は原価率が低く、一般的には8~20パーセント程度くらい。例外は生ビールで1杯の原価が180~190円くらいとなります。原価率が低いドリンクをより多く売るために、キャベツ盛があります。キャベツ盛にはお酒が飲みたくなる味つけがされているうえに、おかわり自由です。お客さまはお酒が進みます。

飲食業における料理の鉄則は「ご飯が食べたくなるか、お酒を飲みたくなるか」つまり、ご飯ものかお酒を利益獲得商品にすることです。鳥貴族は、この鉄則をきちんと押さえています。

原価は1個あたり数円「餃子の王将」の儲け方

また、「餃子の王将」の餃子は集客商品であると同時に利益獲得商品です。

HPより
HPより

かつてラーメン屋さんの利益戦略は、ラーメンの価格を低めに設定して、生ビールと餃子で利益を獲得するという戦略でした。生ビールは居酒屋みたいに価格競争に巻き込まれませんから550円くらいの価格をつけられます。それよりも利益率が高いのが実は餃子なのです。生ビールの原価が180~190円に対して、餃子の原価は1個数円レベルです。

しかし、餃子の弱点は提供時間が長いことです。一般的には冷凍の餃子を焼くので提供時間が長くなります。ところが、餃子の王将の場合、圧倒的な集客商品の餃子はオーダー率がダントツに高いため、セントラルキッチンから届けられた餃子を冷凍する必要はありません。つまり、チルドの状態で焼き上げるので、スピード提供できるという理想的なサイクルができあがっていました。

別のお店の集客商品と利益獲得商品を見てみましょう。

私の故郷(北海道帯広市)にある平和園という超老舗の焼肉屋さんで、年商は10億円を超えています。

このお店の集客商品はジンギスカンですが、その原価率はなんと75パーセントです。

利益獲得商品はジンギスカン定食、ハラミ、カルビ、ナムルなどです。お客さまは、ジンギスカンだけでなく、ほかの料理も召し上がってくださるので、トータルで儲かっています。