「お別れ会」をきっかけに事態が一変

宇津井さんの希望で、葬儀は名古屋で開かれ、喪主は文恵さんが務めました。当初、文恵さんが「相続は放棄する」と言ったこともあり、感動的な純愛話としてとらえられていました。文恵さんの経営する「なつめ」は、中部電力、JR東海、トヨタなど名古屋を代表する企業の幹部たちが集い、「夜の商工会議所」と呼ばれるほどの名門クラブ。「遺産狙いでは?」という世間のうがった見方に対し、当時「私のほうが財産があると思います」と返していたほどです。

そのため、前妻との間の一人息子、隆さんと相続争いになる気配はないように思われていました。ところが、宇津井さんが亡くなってから2カ月後に開かれた「お別れの会」で事態は一変します。

主催したのは、一人息子の隆さん。文恵さんは、その案内状に自分の名前がなかったことに気分を害し、カヤの外に置かれた悔しさからか、「相続を放棄しない」と切り替えたのです。

さらに、納骨でも二人は対立。文恵さんは隆さんに無断で名古屋のお墓に納骨。それから約2年かけ、ようやく隆さんの希望がかない、宇津井さんの両親や前妻の友里恵さんが眠るお墓に宇津井さんのお骨を分骨できたそうです。

豪邸をめぐって相続トラブルが続く

こうしてどうにか遺骨の問題は片付いても、遺産の問題はまだ続いていたようで、隆さん家族が生前の宇津井さんと同居していた、2億円と言われる豪邸をめぐって相続トラブルが続いていたというのです(「NEWSポストセブン」2016年2月17日掲載「宇津井健さんの遺骨めぐる息子と後妻の対立解決 遺産はまだ」)。

その後、2016年4月、文恵さんが代表を務めるスポーツクラブ運営会社が33億円超の負債を抱え、倒産する展開を迎えました。これほどの負債が2年やそこらでできるはずはなく、「入籍前から経済的に行き詰まっていたのではないか」との見方を示す報道もありました。

こんな「争族」ですが、2020年1月の「週刊新潮」の報道によれば、文恵さんが手を引くことで解決したとのこと。2014年の宇津井さん死去から6年、いったん相続人の感情がこじれると、一生ぬぐえない傷として長く尾を引くものです。