交渉を有利に進めるためにはどうすればいいのか。元大阪府知事の橋下徹氏は「交渉が成立するかは、準備の段階で決まっている。自分が譲れない要望を整理しておき、交渉中は相手の要望を見抜くことに徹するのだ」という——。

※本稿は、橋下徹『交渉力 結果が変わる伝え方・考え方』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

国会議事堂と曇り空
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準備の段階で、交渉の結果は決まっている

交渉で1番大事なことは事前の「要望の整理」だ。自分の要望はもちろん、相手の要望も整理の対象だ。自分の要望が多ければ多いほど、交渉は成立しにくくなる。要望が多いということは、獲得目標が多いということ。「これも獲得したい、それも獲得したい、あれも獲得したい。だから、これも、それも、あれも譲れない」となると、交渉はまとまらなくなる。

大事なことは事前に要望を絞り込むこと。究極的には1つに絞り込む。1つに絞り込めなくても、例えば、当初10個の要望があるなら、せめて2つか3つに獲得目標を絞り込んでおく。

当初10個の要望に優先順位を付け、獲得目標を上位3つに絞り込んだら、残りの7つは相手に譲歩してもいいということだ。つまり、譲歩のカードとして使う。そして優先順位の低いほうから、1つずつカードを切っていって、最終的に7個までは譲歩し、残り3つは絶対に譲歩しない。

言い換えれば、10個の要望を『絶対に譲れないもの』3つ、『譲れるもの』7つにきちんと事前に整理しておくということだ。

こちら側が『譲れるもの』を譲ることが、相手に「利益を与える」ことになる。当たり前だが、交渉は、相手に利益を与えれば与えるほど、まとまりやすくなる。

このように交渉をうまくまとめるには、交渉の準備の段階で、自分の要望に優先順位を付け、要望を整理しておくことだ。準備の段階で、交渉が成立するかどうかの9割は決まると言っても過言ではない。