よく飽きもせず、同じことをやり続けられるものだ

約90分×6日=540分。メモを取りながらの視聴は、考えていた以上の苦行だった。他のワイドショーは見ていないが、これほど新型コロナウイルスだけを延々やり続けているのは、ここだけだろう。

日々の内容には後で触れるが、見終わった感想をいうと「素人たちの井戸端会議」である。これは悪口ではない。ワイドショーというものはそもそも、そういうものなのである。

だが、これだけははっきりいえる。この番組を見ていると、コロナについての雑学には詳しくなるが、世の中で起きている他の大事なことは、ほとんど分からないということである。

しかも、よく飽きもせず、同じことをやり続けられるものだと感心する。ため息がでた。中でも、大変だろうなと思うのが、8時20分ごろから始まる詳細なパネルを使った解説である。

パネルは、放送の少し前に作っておくのだろう。羽鳥MCがパネルを指して説明しながら、次々にコメンテーターや、「コロナの女王」といわれるようになった白鴎大学の岡田晴恵教授に、お伺いをたてながら進行していく。

時々、玉川氏が、現在のパネルより先の話をしようとすると、羽鳥が慌てて、その話は次ですからと止めるのがおかしい。

始まる前に、入念な打ち合わせがあるのだろう。この8日間に、イタリアやスペインは感染患者が増え続け、アメリカも、トランプがあわてて強引なコロナ対策を推し進めようとしているが、日本は、患者が少しずつ増えてはいるが、専門家会議が恐れているようなオーバーシュート(爆発的な感染拡大)は起きていないようである。

岡田教授は、感染症の専門家なのだろうが、いっていることは、「私の考え」と前置きしているように、参考意見を述べる程度にとどまっている。彼女は、簡易でいいから、病院の前に「発熱外来」をつくれというのが持論のようで、何かというと、「発熱外来」を連呼する。

むやみにPCR検査を増やすと感染を広げる

玉川氏も、こうしたものを早急に作れ、韓国のようなドライブスルー検査をやれ、大阪の吉村洋文知事の、コロナ患者を4段階に仕分けするという考えが、すこぶるお気に召しているようで、何度も、こうしたものを他の都市でも作るべきだと主張している。

だが、3月22日に放送されたNHKスペシャル「“パンデミック”との闘い」で、最前線にいる医師は、日本が他の国、イタリアやスペインのようにならないのは、PCR検査をしないためだといっていた。

世論は、PCR検査を国民の多くにせよというが、これをやると逆にコロナの感染を広げることになるというのである。不安になった人々が検査をしてくれと押しかければ、感染者から医者や看護師、また来た人たちへと次々に感染していくから、手の施しようがなくなるというのだ。

日本では、感染者と感染源を特定し、そこから広がっていかないように封じ込めるやり方が功を奏し、今のところオーバーシュートは起きていない。だが、何かのきっかけで起これば、それを止めることはできず、あっというまに爆発的に感染者も死者も激増してしまうというのである。

私は、コロナについての知識がないので、どういうやり方が正しいのか、判断することはできない。だが、たしかに国民全員にPCR検査をすれば、発症してはいないが陽性の人は爆発的に増えるだろう。そうなれば、日本中がパニックに陥り、あっという間に医療崩壊が起きるだろう。

「現金支給だけでなく消費税をゼロに」とのご高説

さて、「モーニングショー」の構成はこうなっている。3月13日、金曜日。トランプ大統領が東京オリンピック・パラリンピックを1年延期したほうがいいといった、愛知県蒲郡市のカラオケパブに50代の感染者が来店して女性従業員と濃厚接触していた、マスクの転売が禁止されるのに、ヤフオクではマスクが高値で出品されている。そうした映像を流した後、8時29分から、羽鳥MCが現れ、岡田晴恵氏や、コメンテーターを映し出す。

この日は、東京オリンピック開催は無理ではないかと、吉永みち子氏が口火を切る。玉川氏は、「中止や延期はIOC(国際オリンピック委員会)が決めるのではなく、アメリカのNBC(テレビ局)だ」と、引き継ぐ。