土曜日の小児科は、お父さんでいっぱいになった

“イクメン”という言葉は、2006年頃に生まれたそうです。

お父さんが子どもを連れて小児科に来るのは、今やごく当たり前のこと。土曜日の待合室は、子連れのお父さんたちでいっぱいです。お子さんの症状だけでなく、普段の様子もとてもよくご存じです。私が通勤のときに見かける保育園では、子どもを送りにきている保護者のうちの半分くらいがお父さんです。

私が研修医だった頃は、育児は「お手伝い程度」というお父さんがとても多かったものです。お子さんを外来に連れてきて症状はなんとか言えても、体重は知らない。「日頃どういうものを食べていますか?」「今はそれをどのくらいしか食べられていないですか?」と聞いても、答えられないお父さんばかりでした。

こうして時代はどんどん変わりつつあるのに、いまだに父親による育児には無理解が残っています。冒頭のお父さんはこんな話もしてくれました。

「以前、妻と一緒に自治体の乳幼児健診に子どもを連れていったとき、保健所の人に『お父さんはあちらに行っていてください』と外に出るよう言われたんです。『私はここにいます』といって健診に付き添いましたが」

なんて失礼な話だろうと私は思いました。お父さんは子育ての部外者ではありません。自治体の乳幼児健診では参加者の3割くらいがお父さんなのに、「ご飯はお母さんと一緒に食べましょう」「歯の仕上げみがきはお母さんがやってあげましょう」と終始、お母さんだけに向けて話をする保健師もいるそうです。

「産まなかったほうが悪い」が象徴する大問題

少子化が深刻になるばかりの日本ですが、2019年、大臣のひとりが少子高齢化問題に絡めて、「年を取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違い。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」と発言しました。

私はニュースの「産まなかったほうが悪い」というタイトルを見て、てっきり産まないほうの性、つまり男性が悪かったと反省しているのかと思いました。その大臣は男性です。これまで政治や制度を担ってきたのは男性なので、少子化に対して有効な手立てを講じられなかった自分たちに責任があるという話だと思いきや、そうではなく少子化は出産をしない女性のせいだとする発言でした。政治家である自分を省みず、女性へ過度な責任の押しつけをするなんて、大問題です。

これに対して「発言の一部だけ切り取ったから誤解された」と言う人もいましたが、その人物は2014年にも同じようなことを言っていますから、認識は変わらないまま本音が出ただけではないでしょうか。