戦国武将の強さの秘訣は、日ごろの生活習慣にあった――、食をはじめとした「健康の流儀」について専門家に話を聞いた。

家康の強さは健康オタクにあり

戦乱の世で、武士たちの目的は勝ち、生き残ること。そのためには苦しい戦いにも耐え抜く「健康で強い心身」が必要で、当時の武将は食生活を重要なものとしてとらえていたようだ。

Boiled barley rice and pressed barley
写真=iStock.com/hungryworks
※写真はイメージです

歴史家で作家の加来耕三氏は「武将の性格が食生活にも影響を与えている」と話す。

「特に織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三方は性格による差がわかりやすい。極端にいえば、それが最期にもつながっているように思いますね。今、大河ドラマで話題の明智光秀は“負けの予兆”があったと記録に残っています」

どういうことか。儒者の藤井懶斎らんさいによって著された『閑際筆記』に「本能寺の変」の後、朝廷にのぼった光秀を、京都の人々が祝うべく「ちまき」を献上したところ、なんと光秀は粽を包んでいた「菰葉こよう」をとらずにそのまま口に入れてしまったとある。「菰」は水草の一種で、本来これは食べない。

「心身ともに追い詰められて『本能寺の変』に臨んだものの、事前の準備を全くしていなかった光秀は、上の空で菰葉をとらずに口に入れてしまったのかもしれませんね」(加来氏)