「現金で返金される」ことを利用して…

延期による払い戻しが濃厚なサッカーのチケットをau PAYで購入すれば、使った金額は全額現金で返ってくるため、ノーリスクで購入時のキャンペーンポイントを獲得することができるはずだと山田氏は語る。

その現場を山田氏は私に見せてくれたが、チケットの予約から購入まではわずか数分。au PAYの1日の還元上限ポイントである6000ポイントに達する金額、3万円が一瞬で決済された。

実際に山田氏が発券したチケット。彼の目論見通りにことが進めばチケットは現金での返金となり、手元にはキャッシュレス決済のポイントだけが残る
撮影=網田 和志
実際に山田氏が発券したチケット。彼の目論見通りにことが進めばチケットは現金での返金となり、手元にはキャッシュレス決済のポイントだけが残る

「これを毎日繰り返せば、ノーリスクで日々6000ポイントを獲得することができる見込みです。もちろん、マスクをかき集めたときと同じように、複数のアカウントを今回のために用意しました。200万円分は買いたいですね。もくろみ通りに行けば、40万円のもうけになるはずです」

この方法はau PAYで支払い可能で払い戻しが濃厚な興行であれば、サッカー以外でも流用することが理論上可能だ。

「たとえば、3月9日にプロ野球公式戦の延期が発表されましたが、3月20~22日に開催予定だった西武VS日本ハムの試合はまだチケット購入可能です」と山田氏は言う。
(編集部註/3月12日11:00時点)

悪質転売ヤーの言い分

政府のイベント自粛要請による保証は一切なく、ウイルスによる延期は保険適用外と公言している保険会社も多い。そんな危機的状況に追い込まれた主催者に対して、チケット払い戻し経費を増やし、事業者に負担をかける行為に対して、山田氏に罪悪感はないのだろうか。

「罪悪感は一切ないです。少し前に話題となった老後2000万円問題があったように、おそらく私の世代は2000万円以上の資産がないと安心した老後は送ることができないと思います。だから機会があれば、少しでも稼ぐつもりです」
「SNSなどで『転売ヤーは死刑にしろ』のような乱暴な意見を目にしますが、転売ヤーを批判したところで、自分にマスクが行き渡るわけでないことは、誰だってわかることです。SNSで暴論を振り回して気持ちよくなっているだけの人たちに比べたら、転売でもうけを得るための仕組みを必死で考えている私のほうが、人間に与えられた知性を有効に使っていると思います。叫んでも何も改善しないことを必死になってほえている人たちは、犬や猫と同類だと思っています」