勝負の前では立場の上下は関係なし
従順であることは日本特有のメンタリティのような気がしますが、トップに立つ選手は違います。自分の哲学を持っている。オリンピックで金メダルを争うというとき、最後に頼りになるのは自分だけ。人に言われたこと、人と同じことをやっていては世界一にはなれないことをよく知っています。
ビジネスの世界でも同じでしょう。「指示待ち」という言葉がありますが、一流のビジネスマンは自分からどんどん仕掛けていく。失敗して上司に叱られても、自分の哲学があれば腹のくくり方も変わってくる。自分で考えて決めて取り組んでいる以上は必ず身になります。
そう思える人間が少ないのは、日本のスポーツ界、ビジネス界の問題点でもある。大部分がコーチや上司の指示を疑わずに従う。まして活用するなんて思わない。でもそろそろ変わっていかなければいけません。競技も仕事も、勝負の前では上も下もないんですよ。
▼米満達弘(レスリング フリースタイル・66キロ級 2012年ロンドン五輪 金メダル)
相手の左脇に針の穴のような空間を感じられるようになりました
右構えの米満は毎日毎日、左構えの二本足と相対しながら、片足タックル以外の攻め手を模索した。さまざまなクセや体形の左構えの選手に向き合いながら、自分の身のこなしと相手の動きの擦り合わせを重ねた。「ある日、点のような穴をめがけて、自分の体を頭ごと外側にひねり、半身ですべらせるように飛び込むと、相手の背中に回れると気づいたんです」
相手の左脇に針の穴のような空間を感じられるようになりました
右構えの米満は毎日毎日、左構えの二本足と相対しながら、片足タックル以外の攻め手を模索した。さまざまなクセや体形の左構えの選手に向き合いながら、自分の身のこなしと相手の動きの擦り合わせを重ねた。「ある日、点のような穴をめがけて、自分の体を頭ごと外側にひねり、半身ですべらせるように飛び込むと、相手の背中に回れると気づいたんです」