1.一度ザッと見て、勉強する準備ができる

僕は、このような「動画」による学習の流れはこれからどんどん浸透していくと考えています。角川ドワンゴ学園のN高等学校をはじめとする通信制の学校では、対面の授業ではなく動画の授業で単位を取得している高校生も出現していますし、塾ではなくスタディサプリでの勉強で東大に合格したという学生もいます。

また、新型コロナウイルスの影響で学校が休校になり、スマホの動画による勉強が浸透し始めています。

僕は東大生の仲間と、コロナウイルスで休校になった学生のために、平日10時~15時まで生配信で授業を行う「スマホ学園」というYouTubeチャンネルを運営しています。そこでは100人以上の学生が毎日のように集まって動画授業を聞いてくれます。

彼ら彼女らは、動画で学ぶことに抵抗感がないのです。このような動画による勉強の流れは、今後どんどん加速していくことでしょう。

では、そんな動画授業には一体どんな利点があるのか? どうすれば動画授業の強みを活かした勉強ができるのか? 今日はそれについてみなさんにお話ししたいと思います。

まず動画授業の利点として一番はじめにあげたいのは、「ザッと流せる」ということです。

東大生は、本を読むときも、動画を見るときも、勉強するときも毎回そうなのですが、まずはその項目をザッと流し見するのです。例えば本なら、わからないことがあるのを前提として一度全部を読み切ってしまう。それにより、「よくわからないけど、全体像はなんとなくわかったぞ」と大ざっぱに理解をします。難しい言葉で言うなら「マクロな視点でその項目を眺める」のです。

理解していないことを前提とするこの行為ですが、これをやっておくだけで実は学習効果というのは段違いになります。例えばドラマを見ていても、先の展開がわかっていれば「あ、このシーンってこういうことの伏線なんだな」というのがわかりますよね? 逆に、先の展開がわかっていないと、「これってどういう意味なんだろう?」とわからなくなってしまいます。

2倍速で流し見したあとにじっくり見る

一度ザッと全体像をつかむというのは、要するに「流れ」を理解する行為です。これをやっておけば、細かい「ミクロ」な部分もどんどん理解することができるようになるのです。

動画授業は全体像をつかむのに最適です。しかもYouTubeなど多くの動画サービスでは再生速度を変更することができます。私のおすすめは2倍速で、動画をザッと流して見ることです。一度見てから、あらためて動画を見ていくことで、理解が深まります。

東大生の中には、「スタディサプリの伊藤賀一先生の日本史の授業を、学校の行き帰りでラジオのようにずっと聞いていたことで、日本史の勉強を本格的に始める時に非常に役に立った」と語る人もいます。

また「YouTubeの本の要約の動画をザッと聞いてから本格的に本を読んだらよく理解できるようになった」という東大生もいます。一度ザッと流せるということの利点は、非常に大きいのです。