6畳一間、トイレと台所は共同、それで家賃は月11万円
アメリカ大統領選挙の民主党候補者選びでバーニー・サンダース上院議員が勢いを増している。それはなぜか。現在、米国に滞在している筆者が肌で感じていることをお伝えしたい。
筆者は12月上旬からハーバード大学の客員研究員となる機会に恵まれた。期間は約4カ月ほど。ただし勤務先である金沢大学の大学院入試業務があるため、その間に一時帰国をするスケジュールだ。研究費として使えるのは約100万円。2往復分の交通費と滞在費を考えると、大幅な持ち出しとなってしまうが、貴重な機会なので渡米を決めた。
ハーバード大学はマサチューセッツ州ボストン近郊の街ケンブリッジにある。「大幅な持ち出し」と書いたが、最大の原因は「滞在費」の高さだ。私が借りた家は、ハーバード大学からバスで30分ほど。一軒家の間貸しで、トイレと台所は共同、部屋の広さは約6畳(約10平方メートル)。それで家賃は月約11万円(980ドル)である。こうした事情がわかっていたので、妻子を連れてくるという選択肢は当然なかった。
マサチューセッツ州の最低時給は現在12.75ドル。私が借りた6畳一間を維持するには月80時間の労働が必要だ。最低時給ではどう考えても生活は回らない。現地の知人に「低所得者はどうしているのか」と聞くと、「長時間働く」という答えだった。家の近くから大学に向かうバスは、始発が午前4時台、最終は午前1時台。終バスに乗り合わせたとき、車内は疲れ切った労働者で溢れ、日本の終電とは異質の空間だった。
こうした「恵まれない層」の不満はどこで解消されているのか。周囲に尋ねたところ、「それならばバーニー・サンダースの演説会に行ってみるといい」と言われた。