本当に大事なことをやっている人は過去を振り返ることを恐れない
少し前まで中西部の有名なビジネススクールの終身教授であった友人が、転職を考えていました。彼は50代前半で、論文を何本も重要な学術誌に発表し、潤沢な寄付金で運営されている研究所で安全かつ快適に過ごしていました。彼は学部長と会い、これから何をしようかという話をしました。学部長は言いました。
「もっと趣味を楽しんだらどうだ? 君の目の前には輝かしい10年がある。過去を振り返るべきではない。美しい夕日に向かって航海するんだよ」
過去を振り返るべきではないのは、おそらく、わたしたちの多くが、本当にやりたくないことをしているか、本当に重要なことを怠っているからです。クレイはいつも過去を振り返り、さらによいものを得るために、何かを捨てることを恐れませんでした。
彼の人生には優先順位がありました。彼は、白血病の治療で車椅子の生活になるまで、最愛のMBAクラスを教え続けました。クレイは授業を代理に任せるようになっても、教室にいさせてほしいと学部長に願い出ました。できる限りの方法で議論に貢献したかったのです。
そのクラスは、ハーバード・ビジネス・スクールで最も人気のある選択科目であり続けました。彼は残された日々を、妻のクリスティンに伴われて大学に来ていました。早朝のまだ薄暗いうちにモーガンホールのオフィスに到着し、授業に出席しました。そしていまもクレイはわたしたちの心中に住み続けています。
※本稿はHoward Yu氏よりプレジデントオンラインに特別寄稿されたものです(翻訳:プレジデント書籍編集部)