トップの選手ほど、敗北のダメージは大きいもの。その不安や恐れをどうマネジメントしているのか――。
なぜ錦織圭は競り合いに強いのか
「毎日毎日、練習しているのですが、負けることばかり考えてしまいます。どうすれば楽観的になれますか?」
国際大会を1カ月後に控えたアスリートから、このような相談を受けることがあります。彼らの考え方には共通項があります。チャンピオンは生まれつき強い精神力を持っており、不安や恐れといったネガティブな感情とは無縁だと勝手に思い込んでいるのです。それは間違いです。強いアスリートも、不安や恐れを持っています。だから、彼らが不安や恐れをどうマネジメントしているのかを学ぶべきなのです。
また、弱気な選手は「かつて失敗したのだから、今度も失敗するだろう」という脚本を自分で書いて、「負けパターン」の泥沼にハマっていきます。しかし、過去に失敗した経験を詳しく検証してみると、案外、論理的とは言えないただの思い込みである場合も多いのです。
たとえばたった1度でも競り合いの末に負けたことがあると、その印象が強く残ってしまい、「自分は競り合いに弱い」という苦手意識を抱いてしまう。その意識はやがて「どうせ自分は勝てない」に発展していきます。