そして、大規模イベントの中止などをやる場合には、発生期から移行期の間でやらなければ意味がない。しかしここで悩ましいのが、発生期や移行期においては、感染状況が明確にわかるデータがまだ手に入らないということだ。

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根拠が弱い時の判断は政治家がやる

このようにデータが不十分な時点において、大規模イベントを中止するか否か。官僚にそのような判断を求めるのは酷だ。官僚は、しっかりとしたデータと論拠を基に行動するのがその役割だ。これは、できる限り責任を負わないようにする行動原理ともいえる。

ゆえに、データや論拠がない中で決断をし、その上ですべての責任をとるのが政治家の役割だ。

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この点、現在の感染者数や死亡率などを見ると、新型コロナウイルス肺炎の危険性は通常のインフルエンザと同程度なので、それほど大騒ぎする必要はない、という意見が巷にはある。僕も最終的にはそのように落ち着くことを望んでいる。

しかし、今の段階では、新型コロナウイルス肺炎を通常のインフルエンザと同等に扱ってもいいのか、爆発的に感染が拡大したときに医療機関が十分に対応できるのかが不明な状況だ。

※25日の基本方針では、新型コロナウイルス肺炎は通常のインフルエンザよりもリスクが高いとの認識が示された。

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また、インフルエンザでは呼吸器障害への対応はそれほど必要ないが、新型コロナウイルス肺炎ではその対応に追われることになるらしい。ところが、医療機関においてまだその準備ができていないという声も聞く。

だからこそ、医療機関をはじめとする「社会の耐性」を整える時間稼ぎが必要であり、そのためには、発生期から移行期である今のタイミングで、データや根拠が弱くても、大規模イベントの中止をすることが必要だと考える。

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