医療費控除の特例として、2017年から始まったセルフメディケーション税制。元国税調査官で税理士・産業カウンセラーの飯田真弓氏は、「通常の医療費控除よりも適用条件が緩く、多くの人が対象となる制度なのに、知らない人が多い」という――。
薬局の内部
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そもそも医療費控除とは

サラリーマンにとって、一番身近な確定申告といえば医療費控除だろう。給与所得者の還付申告は年が明けると同時に受付が始まる。既に令和元年の還付申告を済ませたという方もいるのではないだろうか。

実は、この医療費控除、かつては税務職員泣かせの事務だったのだ。どんな点が税務職員泣かせだったのか。今回は、医療費控除について考えてみたい。

そもそも医療費控除とはどういうものなのだろうか。わが国の医療費控除制度は、シャウプ勧告を受けて、昭和25年度の税制改正で設けられた。

シャウプ勧告を受けて設けられた上記医療費控除規定の要点は、
①総所得金額の合計額の10%という足切限度額が設けられていたこと
②最高控除額10万円という控除限度額が設けられていたこと
③自己だけでなく扶養家族に係る医療費も控除対象とされていたこと
④支払った医療費から保険金等により補てんされる部分を控除した実額での控除が認められていた

出典=赤木葉子「所得税法上の医療費控除に関する一考察