サイゼリヤは戦略的に「東北羊肉串」の味に寄せた?
ここ数年、日本では、タピオカのような「マス」の流行だけでなく、羊肉串のような「アンダーグラウンド」での流行が熱狂的な支持を集めるという現象がたびたび起きています。今回の「アロスティチーニ事件」の核は、まさにそのアンダーグラウンドの盛り上がりだと私は考えています。それを一気に大メジャーのシーンに抜擢したのがサイゼリヤ、という構図です。
そう考えると、サイゼリヤはそのアンダーグラウンドでの盛り上がりをにらんで、アロスティチーニを羊肉串にあえて「寄せた」というのも可能性も考えられます。そうだとすれば、極めて時代に敏感な、しかも大胆かつ周到なマーケティングスタイルです。
そして痛快だったのは、羊肉串をめぐるアンダーグラウンドでの盛り上がりは、仕掛けた側のサイゼリヤの予想をはるかに超えて大きく、羊肉串とは縁の薄かった一般層に対しても強い波及力を持っていたことが、「アロスティチーニ事件」として可視化されたという点です。
これはまさしくひとつの「事件」なのです。