「1億円渡したら、どんなビジネスを始めますか?」

「あなたに1億円渡したらどんなビジネスを始めますか?」

このような質問をいきなりされたら、きっと多くの就活生は頭が真っ白になってフリーズしてしまうでしょう。もちろん、中には私の想像をはるかに超えるような返答ができる就活生がいるかもしれません。

こうしたときは、その人のキャラや人間性がもっとも出やすいものです。

ただし、ここで私が就活生に求めているのは、私が納得するようなもっともらしい回答ではありません。その場をどのように切り抜けるか。私はそこに重きを置いているのです。ですから、誠実に「すみません、わかりません!」というのも、立派なその場しのぎ力だと私は思っています。

では、こうしたその場しのぎ力をどのように養えばいいのか。

そのためには、普段自分が接している社会人の方々といろいろなコミュニケーションをして、「自分の知らないことに触れてみる」ことをひたすら繰り返す。これが最良の方法だといえます。

そして、そうした方々にいろいろな質問を投げかけてもらう。やはり社会人と話すと、社会人ならではの鋭角な質問が来るはずです。最初はそうした質問に詰まることがあるかもしれませんが、学生の皆さんであればそれが当たり前なわけです。

ときには、頭が真っ白になってパニックになったり、恥ずかしい思いや悔しい思いもするでしょう。それでも、どんどん繰り返していくうちに、うまく返せたりかわせたりできるようになっていくものです。

知らない国の国旗を「プレゼン」できるか

ではここで、学生たちのその場しのぎ力を鍛えるために私が実際におこなっているトレーニング法を伝授します。

佐藤裕『新しい就活 自己分析はやめる! 15万人にキャリア指導してきたプロが伝授する内定獲得メソッド』(河出書房新社)

それは、「1分間プレゼン」というもの。その名のとおり誰かを指名し、1分間のプレゼンをやってもらうわけですが、事前に指名する人を決めているわけでもなく、あらかじめお題を伝えているわけでもありません。

いきなりある学生を名指しして、前に出て来てもらいます。そこで、スクリーンに1枚のスライド写真を急にポッと出す。その瞬間にプレゼンが始まります。

もちろん、学生たちはまったく予測していない写真を出されるため、即興のプレゼンをしなければなりません。まさに、ここではアドリブ力が求められ、その場をどうやってしのぐかというトレーニングになるのです。

例えば、その写真がまったく知らない国の国旗の場合、ほぼ例外なく学生は何も話すことができなくなります。

でも、話ができないならできないなりに1分間をうまく切り抜ける。そうしたトレーニングは友達同士でもできます。それこそ、携帯に入っている写真などを使って「はい、1分間プレゼンしてみて」といったように。

ぜひ、皆さんもチャレンジしてください。

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