先輩や後輩から、飲みに誘われるか
さらに、とっておきの質問がこれ。「先輩や後輩から飲みに誘われるかどうか?」。同期に飲みに誘われるのは普通ですが、先輩や後輩の場合、その人が歳上や歳下からも慕われているということが垣間見える大事なポイントになるからです。
そして、飲み会がらみでもうひとつ。
飲み会をセッティングする、つまりは積極的に幹事を引き受けるというタイプが面接官受けすると考えている学生が多いようですが、実は飲み会をセットする側ではなくいつも誘われる側の人間のほうに面接官は惹かれます。なぜなら、いつも飲み会に誘われる人は、「あいつがいると盛り上がる」といったように、それだけ人望が厚いということでもあるからです。
こうした同性に好かれる力は、一朝一夕で身につくものでは決してありません。
そこで、私が大切にしている価値観があって、「アーティスト論」と呼んでいます。
どのようなことかといえば、設定上では自分はバンドのボーカルで、自分の後ろにはバックバンドがいて、これからステージが始まろうとしています。
そのとき、バンド全員が息の合った演奏をするために私が何をするかといえば、自分が歌うことよりもまずはバックバンドの人たちのコンディションをチェックするのです。次に、ステージを掃除するおばちゃんをケアしたり、照明のおじさんにも気をくばる。すると最高のコンディションができあがって、結果として私も気持ちよく歌うことができるというわけです。
こうした気くばりが同性に好かれる秘訣だと、私はよく就活生に話をしています。
異性にはモテるけど、同性からはなかなか好感を得られないという人は、ぜひこうした気くばりを忘れずに、人間力を磨いていってほしいと思います。
逃げるのではなく、切り抜ける能力があるか
そのむかし、武士が戦場において刀の刃が欠けた際に砥石などで刀を研ぎ、切れ味は悪くとも戦場で戦えるようにしたことから、一時的にその場をしのいで何とかその場を切り抜けることを「急場しのぎ」といいました。
時代は違えど、今でもこうしたその場を何とかしのいで切り抜けるという能力は、就活生の皆さんにも求められる能力です。
ピンチを迎えてしまったとき、窮地に追い込まれたとき、その場から逃げるのではなく、そこで起きた事象に対してうまくその場で対応する、いわゆるアドリブで切り抜ける能力、私はそれを「その場しのぎ力」と呼んでいます。
その場しのぎ力。
面接は、それを試す絶好の機会です。多くの学生が面接はテクニック、いわゆる想定問答を準備して臨んでいるかと思いますが、そこで私はあえて就活生が予測していない質問をぶつけるのです。