「ANAの傘下に入るのか」「独立性が保てなくなる」

ここははっきりしておきたいのですが、洞さんを社長に強く推したのはインテグラル代表取締役である私です。

洞さんは国土交通省出身で、航空局長や国土交通審議官を務めた方です。ANAの勤務は7年ほど。ANA出身というより航空行政の専門家です。スカイマークに非常勤顧問として迎えたのは2018年でしたが、経営戦略会議に毎週出席され、航空業界の長い経験と知見をもとに的確な意見を述べられています。当社では非常勤顧問の経営戦略会議への出席は義務ではありません。任意にもかかわらず毎回出席されるのは洞さんお一人で、非常に信頼しています。

——佐山さんのツイッターには2万2000を超えるフォロワーがいますが、そうしたフォロワーの中にも社長交代の発表後、「ANAの傘下に入るのか」「独立性が保てなくなる」と書き込む人がいました。

承知しています。ツイッターだけでなく、スカイマークのお客さまからもご意見をいただきました。もちろん、社内にも動揺がありました。

ツイッターでは、洞さんを推薦したのは他でもない私であること、洞さんがこれまで顧問としてスカイマークが独立を維持するためにどうするかを真剣に考えてくださっていたことなどを説明しました。

筆頭株主としてむしろこれまで以上に発言していく

社員には、社長交代を発表したその日の夜、「さやま便り」の号外を出しました。「さやま便り」は2015年に経営再建を始めてから毎週月曜日に全社員に送っているメールマガジンです。号外の内容はツイッターの書き込みとほぼ同じで、洞さんを社長に推薦した理由を説明しました。

号外は上場を申請した10月末にも出しています。そのときは、私がスカイマークの代表権を返上したため、一部の社員が「スカイマークへの関与が薄まるのではないか」と心配していました。このため、代表権を返上したのは上場申請の条件として複数の企業で代表権を持つことが認められていないためであり、これからは筆頭株主としてむしろこれまで以上に発言していくことを表明しました。

洞さんが社長になることによってANAの影響力が強まる懸念があるならば、絶対に私は推薦しませんし、他の株主から洞さんを推す意見が出ても同意しません。

——72歳というご年齢はやや高齢なのではないかと思いましたが。

ある年齢から上になると、年齢は同じでも現役感には随分差が出るものです。洞さんはその意味ではフットワークが軽く、極めて現役です。何より、航空業界の仕事が好きだという気持ちが伝わってくる方です。2月13日午後に社長就任会見を開きます。ぜひ肉声に触れてみてください。

(聞き手=POL編集部 構成=三宅玲子)
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