“運動神経がよい”とは、どういう意味なのだろうか。聖路加国際病院スポーツ総合医療センターの田崎篤副センター長は「運動神経の能力は、小学校中学年までに80%が開発され、12歳でほぼ完成するといわれている。運動能力を伸ばすならその年代にスポーツをすることが重要だ」という――。

※本稿は、田崎篤『子どもの健全な成長のためのスポーツのすすめ スポーツをする子どもの父母に伝えたいこと』(岩崎書店)の一部を再編集したものです。

ゴールテープ
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レスリングとサッカーの組み合わせが絶妙なワケ

アメリカの小学校で、体育の授業でレスリングとサッカーの組み合わせをしているのを見ました。レスリングは柔軟性と体幹の強さ、そして闘争心を育みます。サッカーは持久力、瞬発力、そしてチームワークなどを養います。多様な力を磨ける組み合わせを選択するあたりは、さすがスポーツ大国のアメリカ、よいところに目をつけていると感心します。

レスリングは1896年の第1回オリンピックアテネ大会から実施されている伝統あるスポーツです。組み合って押したり倒したりすることにより、体幹の筋力を鍛えながらの有酸素運動になっています。

「体幹の筋肉を鍛える」ことの大切さにピンとこない方もいるでしょう。赤ちゃんが最初に行う動作に、寝返りやハイハイがありますよね。あれは体幹の筋力が向上することによりできるようになるのです。つまり寝返りやハイハイは、生まれて初めて行う体幹トレーニングであり、体幹を鍛えることはすべての運動の基礎となるのです。体幹が肝心であるイメージがわきましたか? また、有酸素運動は勉強で用いる脳の機能を刺激できることは本書でご説明したとおりです。