学年の4割がMARCH以上の大学に進学する理由

この普連土学園は1887年(明治20年)創立のミッション校だ。新渡戸稲造と内村鑑三の助言のもと、キリスト教フレンド派(クエーカー)に属する人々によってつくられた。「フレンド」を「普連土」という漢字にあてたのは津田梅子の父、津田仙である。

わたしが普連土学園を取材先に選んだ理由は3つある。

1点目は、普連土学園はその少人数教育(1学年130人)のためか、多くの私学がある都内では目立つ存在ではなく、ベールに包まれているところがあること。

2点目は、同校をかつて受験した子どもたち、保護者の多くが、「この学校の入試運営はとてもいい」と語っている点。入試にやってきた受験生が「普連土学園に入りたい」と思わせる魅力があるようなのだ。

3点目は、大学合格実績が安定して好調だということだ。2019年度の実績では国公立大、および私立の早慶を含むMARCH以上の大学に計50人以上(学年の約4割)が進学している。中学受験の難易度としては中程度だが、高校卒業の「出口」では上位校にひけをとらない。その秘密は何なのか。

まさに「おもてなし」窓枠もピカピカに磨き上げる

「入試というのは、長年彼女たちが受験勉強に打ち込んできた成果をほんの数時間で判定する場です。その重みを十分に感じて細心の注意を払い準備をおこなっています」

そう話すのは同校広報部長で今回の入試委員長も務める池田雄史先生。手にしていたのは「入学試験会場づくりチェックシート」など複数のプリントだった。

チェックリストの項目に目を向けると、その細かさに驚いた。

「机の中、椅子の下などもきれいに水拭きされているか」
「掲示板には何もない状態か」
「黒板のサンの隅にチョークの粉はたまっていないか」
「窓枠もきれいに水拭きされているか」
「(教室外の)ベランダはきれいに掃かれているか、ゴミは落ちていないか」
「ゴミ箱の中はきれいになっているか」
「机の右上の座席番号カードは、落ちないように2箇所をテープで留めてあるか」
「(お手洗の)ハンドソープはきちんと補充されているか」

チェック項目はなんと48項目。これを教員だけでなく、入試会場設営に携わる高校2年の生徒たちも確認する。「Wチェック体制」だ。

筆者撮影
「普連土入試準備資料」

受験生たちが当日の試験会場で全力を尽くせるよう、学校は隅々まで気を配って環境整備していることが分かる。まさに「おもてなし」である。