ステップ2の「トス」では相手に共感を示します。「それは嫌な思いをさせてしまいましたね」「わかります」「それは私でも腹が立ちますよ」など、相手が「自分のことをわかってくれた」と受け止めるような発言をします。ここでは謝罪の言葉はNG。下手に謝ると相手の怒りを増長させることもあるからです。共感が伝わると、相手はこちらに仲間意識を持つようになります。

穏やかに気持ちよくケンカは終わる

ここでステップ1と2に共通する注意点をひとつ。相手が「わかってもらえた」と思うような声のトーンで話しましょう。温かい声、冷たい声、クールな声……声には“温度”があります。聞き切ったり、共感したりするときは「普段の声よりも温かい声」を意識するのが大事です。冷たい声で「本当にあなたの言うとおりです」なんて言われても、心がこもっているとは思われません。

ステップ3の「アタック」では相手に「共同での提案」をします。相手から聞き切った状況をまとめて、今後どうするか落としどころを提案するのです。ステップ1と2を確実にやり切った後であれば、「◯つの課題があることがわかりましたよね。ではそれぞれ、このように解決していきましょう。具体的には……」などと話すことで、アタックは一発で決まります。ほとんどの場合、どんな提案でも通るでしょう。最後に「いろいろと教えていただいてありがとうございます」と伝えれば、「これからもよろしくお願いします」と収まります。

怒りをすぐに打ち返そうとするのではなく、まずは相手の言いたいことを受け止め切る。全部聞いて、柔らかく共感。それだけでケンカは5秒もかからずおしまいです。

(構成=池田園子)
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