「電話やメールはオワコン」とうそぶくオッサン
思えば2010~2011年ごろ、「オレは最近、連絡にはツイッターかフェイスブックのメッセンジャーしか使わないんですよね。もう電話とかメールなんてオワコンなんで」などと得意げにのたまうオッサンがけっこう出現していた。これは「最新鋭SNS(笑)を使いこなすオレ、かっこいいぜ!」という自意識の表れだったのだろう。
ただ、この話でいうと、会社によってはセキュリティを考えて、独自ドメインからのメール送信と電話のみを外部との連絡手段として許可し、SNSのメッセンジャーでは業務上のやり取りを禁止している例もあるのだ。相手の事情や合理的な情況判断にもとづいて臨機応変にツールを使いこなすのが、本当の意味で賢いビジネスパーソンである。
これを「新しい時代の流れに即していないし、柔軟さに欠ける」「頭が堅い」「バカじゃないの」などと腐すのは簡単だが、相手には相手のルールがあるもの。そして、そのルールやポリシーをきちんと尊重しあえる大人どうしでビジネスをおこない、しっかりと利益をあげているのである。
「大人の中二病」は、あまりにダサい
こうした「大人の中二病」的所業は、日々さまざまな場所で見ることができる。
「エレベーターに乗ったら絶対に奥へ行き、ボタン押し係にはならない」「分煙ではない店で『すみません、タバコの煙をこちらに吹かないでもらえますか?』などと言われたら、『この店は喫煙可ですよね?』と毅然と返す」「電車のドア付近にいても、駅での乗降時には絶対に外に出ないようその場で踏ん張る」「飲み会で自分が会話に入れなかったり、話題がつまらなかったりしたら、遠慮なくスマホに集中する」……いずれも「大人の中二病」患者らしい、痛々しさやダサさ1000%を表す行為である。
そしてA氏の振る舞いが決定的にダサいのは、周囲に対して自分のポリシーを(おそらく嬉々として)吹聴していることである。X氏から私に対して「もしかしてA氏に連絡したけど無視されて、傷ついたのですか?」という連絡があったことからも、それが想像できる。
「オレ、中川淳一郎からのオファーを無視してやったんだよね。あんなヤツのオファーなんて受けられるかっつーの。オレを軽く見るんじゃねーよ! オレ様のいまのポリシーからすりゃ、中川なんて蚊帳の外よ!」とでも周囲の共通の知り合いに触れ回っているのだろうか。だとしたら、真性のバカである。
A氏から私へのオファーは過去に何度かあったのだが、私からA氏に仕事を依頼したのは今回が初めてである。私としては、A氏がインフルエンサー的立場になったことを嬉しく思い、これまでの仕事でのお付き合いに対するお礼の気持ちも込めて、誠実に打診したつもりだった。
正直なところ、私はA氏になんの悪感情も抱いていなかった。しかし、失敬なポリシーやら、それを周囲に吹聴しているだろうことを思うと、今後は“痛いオッサン”事例として遠慮なくネタに使わせてもらうつもりだ。おかげで、こうして今回のコラムのネタにも困らずに済んでいる。