「今回の被害でマンションの資産価値が下がる可能性が高く、その場合、賃料も下げる方向にシフトせざるをえません。加えて修繕積立金の負担分が増大し、住宅ローンを組んでいるオーナーは返済できなくなる可能性もある」

この状況では、賃料の減額などの交渉は居住者側から行動を起こさないといけない。そういった情報を住民間で共有するために、居住者たちを集めたLINEグループが作られた。しかしそのグループでは、住民同士の温度差の違いや不公平感が募り、不平不満が書き込まれるケースも見られた。

具体的な例を挙げると、同マンションのエレベーターには低層階用(1~21階)と高層階用(1・21~47階)の2つがある。電力が一部復旧した後も、すべてのエレベーターが稼働していたわけではなく、慢性的な渋滞が起きていた。そこで、高層階用のエレベーターを使用する21階の住人に対し、「高層階用のエレベーターがより混雑するから、低層階用のエレベーターを使ってくれ」とグループ内で論争が起きた。21階まで一気に昇る高層階用のエレベーターで楽をしようとせず、ちゃんと低層階用エレベーターで時間をかけて昇ってこい、ということだ。

駐車場はやっぱり使えない

プレジデント誌19年12月13日号記事「武蔵小杉の『トイレ禁止タワマン』に新たな火種が勃発」では、同マンション内の地下駐車場が全面的に使用禁止となっていることを報じた。

地下駐車場には車が1台もなかった(情報提供者撮影)。

今回、Aさんの案内で駐車場を訪れてみると、当時は駐車されたままだった車が1台もなくなっていた。駐車場の復旧に関してはまだ先が見込めず、同マンションの管理側では使用開始は1年近く先になるという話もあるようだ。そのため、利用者は同マンションの外に新たに駐車場を借り、不便な生活を強いられている。

LINEグループには、以下のような内容が投稿されたという。「新車に1カ月以上乗れなかったこと。鹿島田の青空駐車場は耐えられなかったこと。それらを考慮して、マンションの賃貸契約を半年で解約しました。高層階で水圧も安定せず、穏やかに過ごしたい週末に避難訓練というのも、億劫でした。あまりにも期待と違う生活を、安くない家賃を払い続けて過ごすのでは、気楽な賃貸を選んだ意味がない」。

鹿島田駅は武蔵小杉駅から3駅先だ。歩いて行くと40分もかかる。たしかに、自分の車に乗るだけでそれだけ時間がかかるのなら、都心にアクセスがしやすい街といえども、交通の便が良いとは言えないだろう。

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