転職ブームが起こると転職しにくくなる
私が聞いたところでは、ある企業が有名人材紹介会社に、あるポストの求人を頼んだところ、そこの若手社員が100人以上の候補者の履歴書を送ってきたという話がある。そもそも企業が採用を人材紹介会社にアウトソーシングするのは、自分たちが採用にかける手間や時間を省力化したいためなのに、これでは自社で新聞広告を出して募集するのと変わらない。
大量の履歴書を受け取った採用担当者は、選考が大変なので、「学歴はGMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)以上」とか「国立じゃないとダメ」などの条件でふるいにかける。人材紹介会社ではコンピュータが大学や学部をグレード分けし、ボタン1つで一定以上のグレードの大学を卒業した者だけが選別される仕組みになってしまう。
それでも候補者が絞れないと、そのうちに「2回以上転職した人は不可」といった条件で足切りをするのだ。
以上のように、人材紹介業界は「転職しよう」とあおるが、その結果、ますます採用条件が厳しくなり、転職しにくくなっているという皮肉な現象が起きている。