転職回数を問わない企業もあるにはある
転職を重ねる人を敬遠する会社が多い一方で、転職回数を問わない企業もある。そのような企業はだいたい3つのタイプに分かれる。
1つは年功序列型ではない、完全成果主義の会社である。こういう会社は、採用の際には特に転職経験は問わないことが多い。ベンチャーもその傾向が強い。その半面、転職回数以外の条件が非常に厳しい。
例えば、TOEICが900点以上でないとどんな職種であっても書類審査にも通らない。筆記試験も難易度が高いものが出題されるのはもちろん、企業によってはすぐに答えの出せない難問を出題する「ケース面接」がおこなわれたりする。
「ケース面接」とは、これは妥当と思われる仮説を立てて論理的に質問の回答を導き出すというもの。応募者の考察力や問題解決能力、固定観念にとわれない自由な発想などが試される。もちろん、入社したらしたで生存競争も激しい。成果を出さなければ昇給や昇進を望むべくもなく、年下の上司の下で働かないといけない場合もある。
営業は「使い捨て」として採用されるケースも
2つ目は営業など離職率の高い職種の人材を大量に必要としている企業である。それまでの転職回数は問われない代わりに、営業経験や前職での実績が重視される。
給与は成果や能力に関係なく支払われる固定給制ではなく、完全に出来高で支払われるフルコミッション制や、売上げ成績に応じて支払われる報酬が変わるインセンティブ制であることが多い。そのため成果が上がらない人は結果的に安い報酬で働くことになり、それが離職率の高さを招いている。いい方は悪いが「使い捨て」として採用される可能性もあるので、注意が必要だ。
3つ目は外資系である。私の会社でも外資系企業の求人案件を扱っているが、転職回数をとやかくいってくるところはほとんどない。3回以上転職してしまった人も外資系企業だったら受け入れてくれるかもしれないが、当然のことながら高い語学力が求められる。
こちらも入社したら厳しい競争社会が待っている。外資系は欠員が出た際に人材を募集するので、そのポジションの役割や与えられるミッションが明確なのが特徴だ。チームではなく個人として、会社とコミットした目標をクリアできたかどうかですべてが評価される。クリアできなければ当然、リストラの対象となる。
以上のように転職回数不問という会社もあるにはある。しかし、そこはいずれも生き残りが大変な世界であることは間違いない。