税法は詐欺被害者を救済できるのか

国税不服審判所のHPに、「いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失は、雑損控除の対象となる災害又は盗難若しくは横領による損失には当たらないとした事例」が公表されている。平成23年5月23日裁決のものである。

国税庁のHP【No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)】には、雑損控除に該当する損害の原因が列挙されている。

3 損害の原因
次のいずれかの場合に限られます。
(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3)害虫などの生物による異常な災害
(4)盗難
(5)横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。

わざわざ、「なお詐欺や恐喝の場合は、雑損控除は受けられません。」と書かれている。

警視庁は、特殊詐欺認知・検挙状況等について平成30年の特殊詐欺発生状況は、認知件数1万6496件、被害額363億9000万円と発表している。この数字をどう見るのか。騙し取られたお金は、国外に持ち出されているかもしれない。おそらく、課税ベースには乗っていないだろう。だとすれば、国自体も被害を被ったといえるのではないだろうか。

税法では、騙された人を救済することはできないのだろうか。筆者のような凡人にはわからない。偉い学者の先生や国会議員の方にぜひ、考えてほしいと思う。

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