大切なのは悪徳セミナーの存在を認識すること
男性の読者のみなさん。ここまで読んでいただけただろうか。もしかして、「な~んだ、今日は女性向けの記事か、俺には関係ない話だな」と思われたかもしれない。ここでちょっと殿方にも注意しないといけないことを1点お伝えしておこう。
「今日も飲んできたの!」「休みの日は子どもの世話ぐらいしてよね!」「どうして、給料があがらないの!」
毎日、顔を合わせると文句ばかり言っていた妻が、最近あまり小言を言わなくなったなあと感じたときは要注意だ。
夫に小言を言わなくてもよい状況になっているのかもしれないからだ。それは、ネットワークビジネスかもしれないし、宗教かもしれない。インターネットで小遣い稼ぎをしているかもしれない。
毎日、疲れて家路につき、いきなり近所の奥さま連中とのトラブルを聞かされるのも大変だろう。しかし、妻が毎日、どんなことを考えているのか、常日ごろからコミュニケーションを取っておかないと、妻は、騙されかけていることに気付かないまま、どんどん深みにはまっていくかもしれないのだ。
話をもとに戻そう。誤解しないでほしいのは、筆者は、ネットワークビジネスや投資セミナー自体を悪く言っているのではない。これから起業しようとする人や、一生懸命に働いて貯めたお金を有効に運用したいと思っている人を狙って、言葉巧みに誘い出し、洗脳しようとする人たちがいるのだという事実を知っておいてほしいと思うだけだ。
盗難では税金が安くなるが詐欺ではならない
今年9月、筆者は、「ビーバップ!ハイヒール」という番組に出演した。「元国税調査官が明かす!怖~い税金トラブル」というタイトルだった。所得控除についていくつかクイズを出題し、その中で詐欺は雑損控除の対象にならないという解説をした。
雑損控除とは、災害や盗難、横領で被害を受けた人が、その損失の一部を所得から差し引くことができる、税金面での救済措置だ。
「え~、空き巣に入られたことを申請したら納める税金が少なくなるなるんですかぁ。知ってたら、申請したのに……」
「でも、振り込め詐欺とかで騙された人たちが税金面では救済されないっていうのは、どうにかならないものなんですかねぇ?」
出演していたタレントからは、そんな意見が出た。
国税庁のHPには、以下のような記載がある。
【照会要旨】
詐欺による損失は雑損控除の対象となりますか。
【回答要旨】
雑損控除は、「災害又は盗難若しくは横領」により生じた損失を対象としますが、「詐欺」による損失は対象となりません。
【関係法令通達】
所得税法第72条
現状、所得税法では、地震や火災などの損害に対しては、税負担を軽くする法律があるが、詐欺は、自分で判断して一端は合意したという点で「自己責任」。救済措置なしとなっているのだ。