逆に、「この商品は役に立つ」「お客さんのためになる」と思えるものを扱うと、自分で売り方を工夫していきます。いいと思えるものを扱うと工夫して成果をあげる一方で、いいと思えないものに関わると消耗してしまう。

そんな繊細さんがやりがいを持って働くには、自分が扱う商品やサービスを「いい」と思えるかどうかも大切なのです。

自分が思う「いいこと」ができる仕事に就く

この「いい」「悪い」は、世間的に見た「いい」「悪い」や、稼ぎが「いい」「悪い」、誰かの言う「それっていいことだよね」とは異なります。あくまでも自分がその仕事をどう思うかが大切です。

繊細さんのお話を聞いていると、同じ物事について正反対の価値観に遭遇することがあります。雑貨屋で働くAさんは便利グッズやアイデア商品が好き。次々に発売される新商品を「次はこれが売れるんじゃないか」と予想しながら発注するのが面白いといいます。

一方、雑貨の卸で働くBさんは、低価格の商品が大量に流通するのを目の当たりにしてモヤモヤ。「地球の資源を大切に、永く大切に使われるものを扱いたい」という自分の思いに気づき、転職を検討しています。

AさんとBさん、両者が関わっているのはどちらも「雑貨」なのですが、ふたりの思いは全く異なります。Aさんは雑貨を扱うのが幸せ、Bさんにとって雑貨は幸せに反する。どちらがいいというのではなく、ただそれぞれ「いい」と思うことが違うのです。

自分は何を「いい」と思っているのか?

それはすなわち、自分が何を幸せだと思っているのか、ということ。自分が思う「いいこと」ができる仕事に就くと、働くたびに「今日もいいことをしたなぁ。よかったなぁ」と心が満たされていきます。

幸せに活躍できる仕事の選び方

「繊細な人に合う仕事ってありますか?」

多くの繊細さんからされる質問です。看護師、公務員、教師、コンサルタント、伝統工芸の職人、ハンドメイド作家、システムエンジニア、経営者……実にさまざまな職種の繊細さんたちから相談を受けてきました。繊細さんはあらゆる業種・職種にいます。

一人ひとり、やりたいことも得意なことも違うため、「繊細さんに合う仕事はこれ」という答えは残念ながらありません。たとえば「困っている人の日常のお世話をすることが合っていて、介護の仕事が本当に好き」という繊細さんと話した数日後に、別の繊細さんから「困っている人に寄り添いたいと思っていたけど、介護の仕事は合わなかった」とご相談をいただくこともあるのです。