「売る」のはゴールではなくスタート

サブスクでは、考え方を根本的に変える必要があるのだ。

これまでの「売り切り」を前提とした商品販売では、販売する時に大きな売上が立つ。「売るのがゴール」だった。だから、販売を目指し一生懸命に頑張ることになる。

一方でサブスクの場合は、販売後に継続的に小さな売上が積み重なっていく。「売ってからがスタート」だ。だから、顧客に使い続けてもらって満足してもらうことで利益が生まれる。

サブスクは「魔法の杖」ではない。難易度は、通常のビジネスよりもむしろ高い。

まず、顧客が「どうしても使いたい」と思ってくれるか?

顧客から見て、お得か? 顧客の課題は解決できるか? 商品やサービスの魅力を、継続的に高め続けて、顧客体験をアップデートし、顧客を飽きさせないことができるか? そして、顧客の成功のために本当に役立つか? さらに、サブスクへの投資を、長期的に回収できるか?

離れる顧客を無理に追わずに長期間継続させる仕組みとして、最近注目されているのが「カスタマーサクセス」という仕事だ。クラウドサービス大手の米セールスフォース・ドットコムにより拡がった考え方だ。

カスタマーサクセスの役割は、主に企業の法人顧客を成功に導くことだ。契約顧客を常にフォローし、顧客自身が気づかない課題を先回りして発見し、解決策を提案する。解約率ゼロを目指して、顧客生涯価値の最大化を図っていく。

このようにサブスクは、売ろうとしてはいけない。

サブスクを使い続けてもらうためには、売った後も継続した努力が必要なのだ。

【関連記事】
「まるで常識はずれ」変なホテルが儲かる理由
なぜフォーエバー21は若者の人気を失ったのか
予約サイト「一休」が予算達成に執着しないワケ
なぜ昭恵夫人は"いざ"というときに失敗したか
「キャッシュレス還元」に頼った韓国経済の末路