9カ月以上使い続ける顧客は95%を超える

ラクサスの児玉昇司社長によると、「返済期限をなくし、選ぶ苦しみから解放するには、サブスクしかなかった」。サブスクは、顧客の悩みを解決する手段だったのだ。

ラクサスは、有料サービスを使い続ける顧客の継続率を最重要指標として見ている。顧客継続率は平均90%。9カ月以上使い続ける顧客は95%以上。顧客に使い続けてもらうには、高い顧客満足度の徹底追求が必要だ。そこでバッグの品揃しなぞろえを強化し、たくさんあるバッグから欲しいバッグが見つかるように、AIでマッチングをしたりしている。(以上、「月額6,800円、継続率91.6%!「ラクサス」はブランドバッグのレンタルで、新しいシェアリングエコノミーを創る」を参照)

もう一つ紹介しよう。月5800円で新品の服をレンタルし放題のサービス「メチャカリ」を提供しているのが、女性向けのアパレルショップ「アースミュージック&エコロジー」などを展開しているストライプインターナショナル(以下ストライプ)だ。

一度に借りられる服は3着まで。返却すれば何着でも借り換えられるので、レンタル数の上限はない。返却には1回380円の手数料がかかる。対象は50ブランド、1万着だ。これは「お洒落な服が借り放題だったら、助かります」という女性の声に応えるために始めたサービスだ。

店舗販売よりも利益率が高い「メチャカリ」

「これで儲かるのか?」と思ってしまうが、すでに黒字化の目処めどはついている。ストライプは、メチャカリで返却された服を自社サイトで中古販売している。返却されるのは数回しか着ていない服がほとんどで、古着よりも高く売れる。中古販売の消化率は95%。商品定価に対してメチャカリで2割、中古販売で5割、合計で定価の7割を回収できる。通常の服は平均だと定価の4割引販売なので、定価の6割しか回収できない。

さらに、メチャカリはストライプのECサイトと物流倉庫を共有しているので、サブスク専用の在庫を抱える必要もない。売れ残りリスクを抱える心配もない。メチャカリのほうが、通常の店舗販売よりも利益率が高いのである。

損益分岐点は有料会員数1万1000人だが、すでに、2019年7月時点で1万3000人を超えた。2019年8月現在、知名度向上に向けた広告宣伝費などの先行投資がかさんでまだ営業赤字だが、将来的には有料会員20万人、売上100億円を目指すという(以上、「週刊東洋経済」2019/1/26号特集「アマゾンに勝つ経営」の掲載されたメチャカリ事例、ほかを参照)。