「ユーの自由だよ。ただ、ファンはどう思うかな」

キムタクが工藤と結婚すると聞いて、メリー喜多川副社長(当時)は激怒したといううわさがあるが、キムタクが結婚を発表したとき、工藤は妊娠4カ月だったという。

「できちゃった婚」、それに工藤の所属事務所が力を持っていたから、ジャニーズ事務所側が折れたといわれるが、女性のほうがキムタクより上手だったということであろう。

キムタクの結婚で、ジャニーズ事務所のタレントたちの結婚が次々に解禁されるかと思ったが、そうはならなかった。

あるジャニーズの人気アイドルは女性歌手との一泊旅行が発覚した際、ジャニー喜多川からこう諭されたという。

「ユーが好きで付き合うのはいいよ。ユーの自由だよ。ただ、ファンはどう思うかな。ファンのことを一番に考えてね」

姉のメリー喜多川の考え方は、さらにシビアだそうである。

「彼女はよくファンを髪の毛にたとえて、『年をとればだんだん減っていく』。ファンについては『来る者は拒まず、去る者は追え』」がメリーの信条だそうで、結婚はファン離れの1番のリスクだと考えているといわれる。

人権を無視したやり方がいまだに横行している

そう考えるジャニーズ事務所に、交際さえも許されず、記者たちの前で「もう会うことも一切ございません」と言わされたのが、「嵐」の大野智(34、当時)だった。

『フライデー』2015年10月2・9日号で、10歳年下の元女優A(24)との同棲愛が発覚した大野は、フライデー発売翌日の9月19日、宮城県内でのコンサートの開演前に、各スポーツ紙の担当記者たちの取材に応じた。

「交際が報じられてすぐに、ジャニーズ事務所の幹部からAと別れるように迫られたようだ。大野は記者一人ひとりの手を握って頭を下げ、痛々しいほどでした」(当時取材したスポーツ紙デスク)

タレントの人権を無視しているとしか思えないジャニーズ事務所のやり方である。

こうしたことがまかり通ってきたことが、私には理解できない。

だが、NHKの朝の連ドラ「あまちゃん」で一躍スターになった能年玲奈が、事務所を離れて独立する時、本名である能年玲奈は商標登録してあるから使わせないと事務所側から言われ、「のん」という芸名で芸能活動を続けているのを見ると、こうした理不尽というしかないことが、芸能界では平気で横行しているのである。

自社のタレントの自由恋愛など許さないのは、当然の権利だといまだに考えているようだ。