「執務環境が悪いと、企業のブランドを落とす」
どれもコストや手間がかかることではあるが、良質な職場環境を社員に提供することが企業の発展につながり、また優秀な社員を集めることになる。今後は「社食・リフレッシュスペースあり」のように、企業の求人広告の“ウリ文句”の一つに、「ウェルネスオフィス認証」という言葉が入ってくるだろう。村上氏は「執務環境が悪いと、企業のブランドを落とす」と強調する。
しかし、すでに勤務先は決まっており、管理職でもない自分には執務環境などどうしようもないと思う人もいるだろう。雑誌『プレジデント』(11月15日号)では自らの手で改善できる「仕事場の環境」を記したのでぜひ参考にしてほしい。同時に自分一人でもすぐにできること——たとえばブラインドを開ける、休憩時間には緑が見える場所で過ごすなどから始めよう。
室温9.2度の「寒い幼稚園」では、園児が顕著に“不活発”
また、オフィスのような認証制度はないものの、実は「幼稚園」でも室内環境が幼児の発達に影響をおよぼすという興味深い報告がある。小さな子供のいる家庭は幼稚園内の「冬場の室温」に注目したい。
「暖かい幼稚園にいる園児は活発で、運動能力が高く、低体温の児童が少なくなることがわかっています」(伊香賀教授)
人の出入りの多い幼稚園は、断熱性の低い建物であると、いくら暖房をかけても室内が暖かくなりにくい。伊香賀教授が調査した中で室温が9.2度と明らかに寒い幼稚園では園児が顕著に“不活発”であったという。
ここで注意したいのは、幼児は身長が低いため、床上1.1mで計測する一般的な「室温」では意味がない。大人でいう“足元”が暖かくないと、幼児にとって快適な環境にならないということだ。
そして「幼稚園」と「自宅の寝室」の両方の室温が、園児の「登園率」にも関わってくるという。