不仲とされる森氏が「英断だった」と持ち上げる不可解
ただ来夏に都知事選を控える身でもある。ここで都民の信頼を失ってはこれまでの都知事としての努力が水泡に帰す。
知事の任期満了日は来年7月30日。公職選挙法の規定上、自治体の首長選は任期満了より前の30日以内に行うことになっている。都知事選は来年6月30日~7月29日の間に投票を終える必要がある。問題は来年7月24日に開幕する東京オリンピックだ。7月には聖火リレーが都内を回り、世界中から選手が集まる。そこに都知事選をぶつけるべきではないだろう。来年の都知事選はこれまで以上に複雑だ。
4者協議(トップ級会談)では、小池知事と不仲とされる森会長が「都知事も苦しんだと思う。英断だった」と持ち上げた。これは沙鴎一歩の憶測にすぎないが、札幌変更問題では水面下で政治的なかけ引きが行われていた可能性がある。森会長の発言はそれをうかがわせる。
「7、8月は他の主要競技が薄い」というIOC幹部の発言
ところでIOCのコーツ調整委員長が11月2日に読売新聞インタビュー取材に応じ、3日付の紙面に記事が載っている。その記事でコーツ氏は「オリンピックマネー」の問題についてこう触れていた。
「今はこの期間を変えるより、開催場所を柔軟に選択することで対応したい。7、8月は、他の主要競技が薄く、五輪を世界中の視聴者に届けられる。米NBCなどがこの時期を評価するのはそのためだ。我々にとっては、放送権料とスポンサー料を確保することにつながる。IOCの収入の90%は、各国五輪委や国際競技連盟、五輪組織委員会の補助に拠出されており、それは五輪とスポーツの未来を支える収入源でもあるからだ。ただ気候変動が進む今後の五輪のあり方は、招致から考えなければならない時に来ているとも思う」
これは読売記者の「都知事はIOCが7、8月に限定している五輪開催期間を見直すべきだとも指摘した」との質問に対する答えだが、「7、8月は他の主要競技が薄い」「放送権料とスポンサー料を確保」という部分は、10月22日付の記事で沙鴎一歩が指摘したとおりだ。このあたりがIOCの本音なのだ。