熱帯雨林アマゾンの火災で爆発的に広がった環境保護の動きは、2020年に控えるアメリカ大統領選の争点になりつつある。だが「民主党に投票すると肉が食べられなくなる」など、訴える内容はあまりに極端だ。NY在住ジャーナリストのシェリーめぐみ氏が、白熱するアメリカ政治の様子をリポートする――。(後編/全2回)
16歳を起点に始まった世界的ストライキ
9月20日、世界同時に開催された抗議行動「気候変動ストライキ」は、16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんを先頭に、世界150カ国400万人の若者が環境への危機を訴えた。彼らの中には率先してプラスチックストローをやめ、エコバッグや水筒を持ち歩き、さらには、肉を食べるのを減らすという行動を実践している者も少なくない。
そんな彼らに対する大人たちの反応は、意外な展開を見せつつある。環境問題が2020年大統領選の大きな論点になりつつあるだけでなく、日本人にはちょっと想像もつかない「肉をめぐる争い」が起こっているのだ。
スウェーデンの高校生、グレタさんは2018年8月、毎週金曜日に学校を休み、議会の前で環境対策を訴えるストライキをたった1人で始めた。これがネットで世界に広がり、世界中の高校生がそれぞれ同様のストライキを開始。やがて今年5月には150万人が参加する世界同時の高校生ストに発展した。グレタさんは一躍時の人となり、今年のダボス会議に続き9月の国連環境サミットにも招かれて、一時はノーベル平和賞受賞もささやかれた。
そしてサミット直前の9月20日。今度は若者だけでなく多くの環境保護団体や企業なども巻き込んで、世界150カ国で世界同時の環境ストライキが開催された。主催者推定では400万人が参加したとされている。
筆者も25万人(主催者発表)を動員したニューヨークでの抗議行動を取材した。スタート時刻の正午、集合場所は手作りのプラカードを持ったたくさんの人々で身動きが取れなくなるほど。その過半数は、中高生と大人同伴の子どもたちだった。