パタゴニア、アマゾン、グーグル社員も参加

この日は平日だったにも関わらず、なぜ多くの児童や学生が集まったのか。ニューヨーク市からは前日、公立の小中高110万人の生徒に対しストに参加するなら学校を休んでもいいと通達が出ていた。民主主義を実地で学ぶチャンスであるとともに、子どもたちの環境への強い関心と危機感の高さに配慮した計らいだったとも言えるだろう。私の友人の子どもたちも、何日も前から熱心にプラカードを作っていた。

実際どのくらいの大人が会社を休んで来ていたかは分からないが、報道ではパタゴニア、バートン、ラッシュなど若い世代に人気のブランドが活動に賛同、当日は店舗やオンラインショップをシャットダウンした。一方、アマゾンのシアトル本社では社員1000人がストライキへの参加を表明、グーグル社員も参加という報道もあった。

彼らの手作りプラカードには思い思いのメッセージが書かれていた。「地球はたった一つしかない」「化石燃料産業と戦え」「自分は破壊された未来のために勉強しているのか?」などなど。

小学生の子どもがかぶっている家を型どった段ボール箱には、炎と共に「私たちの家が燃えている」というメッセージ。グレタさんがスピーチで常に口にするフレーズだ。フランスのマクロン大統領も、アマゾン火災報道を受けて同様の言い方をしていたのは記憶に新しい。

撮影=シェリーめぐみ
「私たちの家が燃えている」と書かれたプラカードを持つ参加者(右)

「工場畜産は禁止」「議会はパニックせよ」

また、全身真っ黒なボディスーツに牛の頭の被り物をかぶった2人組、プラカードには「工場畜産を禁止せよ」と温室効果ガスを大量に放出する畜産に抗議している。「地球を救うためにヴィーガン(肉や卵などの動物性たんぱく質をとらない食生活)になろう」というプラカードを持ったグループもいた。

撮影=Kazushi Udagawa
「工場畜産を禁止せよ」というメッセージを持つ2人組

「投票することが環境を守る行動だ」と政治参加を求めるメッセージも目立ち、「議会はパニックせよ」と、環境対策に消極的な政治家たちに対する憤りや怒りをぶつけたものもあった。

筆者は参加者数人に「なぜこの抗議行動に参加したのか」という質問を投げてみた。

13歳の女子は「気候変動に対する大人たちの知識が少なすぎる。温暖化がフェイクニュースではないということを知らせたかった」と答えた。またアマゾンの火災に関しても「これまで報道が少なすぎたけれど、今回世界の多くの人が知ることになったのはよかった」と語ってくれた。

14歳の女子は「気候変動に対処するために残された時間は最悪12年(国連が2018年発表した)しかないのだから、温室効果ガスを減らすための抜本的な対策をしてほしい。地球を悪くしている大人もこの抗議に一緒に参加し、政府に圧力をかけ、毎日の生活も変えてほしい。例えば公共交通機関を使うとか、地球を救うためにやってほしい」