現在、どの候補でも同じようなシステムを使ってネット献金を受け付けている。いわゆる「ワン・クリック献金」である。今後はさらに拡大し、より多額の選挙資金が集められ、より多くの政治献金を集めた候補が圧倒的な優位に立つ図式が強まっていく。
日本でもネット献金はすでにスタートが切られている。シアターTVの運営する「日本の政治・JP」や楽天の「LOVE JAPAN」、ヤフーの「みんなの政治」などを通して有権者はクレジットカード決済で献金できる。たとえば「日本の政治・JP」には6月8日時点で86人の政治家が登録し、1000円から150万円までを受けつけている。
残念なのは、そこでの献金者の総数がたった32人でしかないことだ。献金総額も49万2000円にとどまっている。まだ一般有権者が政治家に献金することに慣れておらず、否定的な見方をする方も多い。
実はアメリカでも献金へ疑いの目を向ける人は少なくない。ニューヨークにある調査団体「ラグジュアリー研究所」によると、政治献金しない人の66%が「自分の出したカネで世の中がよくなるとは思わない」と答えている。また「寄付したカネがどう使われるのかわからない」という疑問が次に来ている。献金する人に対しては「どうせ税金対策なのだろう」とか「利害が背後にある」との猜疑心もある。
けれども、08年大統領選挙でオバマ氏には7億5000万ドル(約675億円)が集まった。しかも献金者数は投票日の1カ月前までで310万人に達した。いくら大統領選という長期選挙であったとしても、カネを寄付することで「変えられるかもしれない」との思いが背後にあった。日本はアメリカを真似る必要はないが、「ネット選挙」での圧倒的な違いは歴然としている。